不育症の原因 染色体異常

不育症の原因 染色体異常

 カップルの男性または女性に染色体の異常があると、一定の確率で受精卵にも染色体異常が生じ、最終的に流産してしまうことがあります。主に妊娠の初期段階に流産することが多く、不妊症の約10%が該当します。そして、流産や不育の男性側の主な原因ともいえるでしょう。

 

染色体異常とは

 染色体とは、英語のchromosome(クロモゾーム)の和訳で、chromoとは色の意味、someとは体の意味です。このふたつの合成語が染色体です。細胞の中心にあたる核の中に棒状に存在します。
 人間の染色体は46個あります。しかし、次のような場合は染色体異常とされます。

  • 数の異常:46個と決められた普通の染色体数に比べて、45個と少なかったり、47個と多かったりする
  • 欠失:棒状の染色体の一部が欠けている
  • 転座:一部が他の染色体と入れ替わっている
  • 逆位:棒状の一部が逆さまについている

 

染色体異常から流産へ

 自然流産を何度も反復するカップル1639組を対象に、染色体異常の有無を調査した研究があります。
 結果は、男性側に63例(3.8%)、女性側に96例(5.9%)、合わせて約10%の染色体異常が見つかりました。
 その異常の過半数が転座(染色体の一部がちぎれて, 他の染色体に結合した状態)による異常であることも分かりました。
 さらに、これらの異常をもつカップルは、その後流産する事が多く、その確率は80%と極めて高かったのです。

 

 注意深い医師でしたら問診で、カップル男女それぞれの母親がどのような出産状況であったかを尋ねます。この時、どちらかの母親が何度も流産を経験したことが判明すれば、不育の原因が遺伝による染色体異常にあると推察できるのです。

 

 いずれにしても、自然流産を繰り返すカップルの約10%が、男性側か女性側に染色体異常の保因者であることは知っておいたほうがよいでしょう。

 

検査方法や治療についてはこちらです。
染色体異常が原因による不育症の検査、治療

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